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MotoGP前半戦振り返り|バニャイア、失った武器

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©Eri Ito

今は「物事が普通に進まない時期」

シーズン前半戦を終えて、フランチェスコ・バニャイアがランキング3番手にとどまっている。ランキングとしては、悪くはないポジションかもしれない。しかし、問題なのはそのポイント差だ。

ランキングトップのマルク・マルケスは、前半戦締めくくりとなった第12戦チェコGPを終えて、ランキング2番手の弟、アレックス・マルケスに対して120ポイント、そして、最大のライバル、チームメイトであるバニャイアには168ポイントもの大差を築いているのだ。

バニャイアは、なぜ、何にここまで苦戦しているのだろうか。

まずは、チェコGPの週末を追っていこう。

バニャイアは、ウエットコンディションで行われた金曜日のプラクティスを13番手で終え、トップ10入りを逃した。バニャイアが金曜日の囲み取材で語ったところによると、アタック時のタイヤ選択ミスだったという。

「僕としては(リアに)ミディアムで行ったほうがいいんじゃないかと思っていたんだけど、テクニシャンは『ソフトで行く』と考えていたから、その考えに従ったんだ。でも……、間違っていたね」

結局のところ、これは大きな問題ではなかった。バニャイアは土曜日のQ1を1番手で突破し、Q2でもポールポジションを獲得したからだ。Q2はマルケスがクラッシュしたこともあったのだろうが、これがバニャイアにとって今季初のポールポジションとなった。バニャイアは「ポールポジションがうれしくて、スタート練習するのをすっかり忘れちゃった。とにかくハッピーだった」と語るほど、うれしかったらしい。

ただ、そううまく事が運ばないのが、今のバニャイアなのだ。スプリントレースは7位でゴールした。フロントタイヤが最低空気圧を超えていないと知ったバニャイアは、このレース中ずっと、空気圧を上げようとマネジメントし続けた。フロントに荷重をかけようともしたし、途中でペドロ・アコスタに順位も譲った。それでも、バニャイアは「空気圧は上がっていない」という認識のままだった。結論から言えば、これはダッシュボードの問題だったのだ。

MotoGPクラスのスプリントレースと決勝レースでは、タイヤの最低空気圧規定がある。スプリントレースの場合、30%の周回数で最低空気圧に適合していなければならず、これに違反した場合、結果に8秒加算のタイムペナルティが科される。

「『100%、ペナルティになるな』と思ってピットに戻ったら、自分はタイヤの空気圧の調査対象にはなっていなくて、驚いたよ。それでテレメトリーをチェックしたら、2周目から適正な空気圧だったのがわかったんだ」

実際とは異なる状況により、バニャイアは後退を余儀なくされたことになる。しかし、こうしたレースに対し、バニャイアはこう語っていた。

「今は物事が普通に進まない時期なんだと思う。またすごく運が悪い状況になってしまったけど、仕方ないし、明日に向けて前を向くしかない。今日は初めてマルクについていけて、いろいろ学べる可能性があった。それが今日のポジティブな収穫だよ」

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