MotoGPスペインGPを終えた5月某日、1週間くらいマドリードに滞在していた。
そのときはどうにもこうにも我慢できなくて、1週間で3回も日本のごはんを食べに行ったのだ。どうやらマイ・ボディは自分が思っているよりもずっと、米……もとい日本食でできているらしい。
マドリードだけではなく、大抵の街には日本食レストランがある。日本とまったく同じというわけにはいかないけど、日本から遠く遠く離れた国で、慣れ親しんだものに近い味を食せるのはありがたいことだ。
マドリード到着日、夕ごはんに行った日本食レストランで食べたチキンカツ。
店を探す気力もないくらい疲れ切っていたので、手近な店に飛び込んだ。ような気がする。
マドリードは全く土地勘がないので、場所はというと「レアルマドリードの本拠地スタジアムがそこそこ近かったところ」としか言えない。
食べた印象としてはスナック感覚の「フライドチキン」。スパイシーだった。
一緒に鉄火巻きをオーダーしたけど、見事に写真を撮るのを忘れた。たぶん、普通の鉄火巻きだった。気がする。
ビールはEstrella Galicia。お通しは枝豆。お通しなんて文化はスペインにないんじゃないかと思うので、日本食の居酒屋に倣ったのかも。枝豆大好きなわたしは「枝豆!」って、すごくうれしくなってしまった。このときはビールだけがスペインだった。
この1週間はマドリードにいながら、ほとんどゲストハウスに引きこもって原稿を書いていた。どうやら疲れてくると「日本の味が食べたい」という欲求が高まるようで、いい具合に疲れが溜まったところで日本人がやっているというラーメン屋へ。
店員さんもみんな日本人だったので、日本語で醬油とんこつラーメンをオーダー。
もやし、ホウレンソウ、小ねぎ、フライドオニオン(たぶん)、ゆで卵、チャーシューが具材として乗っている。醤油とんこつだけど重くなくて、最近はこってりラーメンの後半で油が苦しくなるお年頃のわたしも最後までおいしくいただいた。
お客さんはもちろん現地の人で、エプロンを使ったりフォークで食べたりしているのが新鮮だった。フォークはともかく、エプロンは思い至らなかった。スーツでびしっときめた男性が、エプロンをつけてラーメンを食べている姿はちょっと、「ふふっ」と思えるかわいらしさがあった。
無理やり1日空けてマドリードの街をぶらついた日。
「どうしても! がっつりとした肉が食べたい!」
そんな欲求に駆られて向かったのはかつ丼が食べられるお店である。
メニューには大抵写真がない。
「どんなかつ丼なんだ?」
はらはらしていたが、ソースかつ丼風だった。なるほど、こうきたか。
そういえば、マドリード初日にはチキンカツを食べているわたし。このときはマイ・ボディが揚げた肉を激しく所望していたのかも……。
ちなみにこの3軒のお店は、泊まっていたゲストハウスの近く。探せばまだ日本食レストランがあって、こんなに日本のごはんが食べられるお店があるんだなー、とびっくりした。
おまけ。
マドリードで食べた、ツナとアボカドとトマトのバケットサンド。とてもとてもうまい。
5月のマドリードは日が長くて、19時、20時近くになっても明るい。
暗くないからなのか、そんな時間になっても公園で子供たちが遊んでいて、強烈な西日がそれを照らしていた。
そんな光景を「まだおうちに帰らないんだなー」と、ぼんやり見ながら食べた一品。