弾けるような笑顔ではなかった。
シールドの奥に見えるのは、涙。そして……言葉にならない叫び。
すべてを終え、泣きながらもてぎのコースをゆっくりと走っていたのは、ありのままのマルク・マルケスの姿だった。
木曜日、会見でマルケスにかすかに漂った違和感
マルク・マルケスは、チャンピオン獲得に王手をかけた状態で日本GPを迎えていた。日本GPを終えた時点で、チャンピオンシップのランキング2番手であるアレックス・マルケスに対し、185ポイント差をつけていれば、マルケスの最高峰クラス7度目のタイトルが決まる。ポイント差から言えば、アドバンテージは大きすぎるほどだった。
だが、マルケスは日本GPを前にして、細かな「心情」を語ることを避けていたように見えた。木曜日の会見で、「もてぎに到着したときの最初の心境は? 最後のタイトルとなった2019年からこれまでの6年間を思いましたか?」と尋ねた。
私がこの質問をする前に、何度も心情について繰り返し聞かれてきたのだとマルケスは言及していたのだが、別の尋ね方をすることで新しい回答を期待したのである。だが、マルケスの答えは、おそらくは何度も答えてきただろうものだった。
「ここもてぎで大きなことが起きるかもしれないと感じている。ここで決められたら素晴らしいだろうね。すでに3回、もてぎでタイトルを決めているわけだから。けれど、今のところは一日ずつ進めたいんだ。金曜日を理解し、土曜日を理解すること。予選とスプリントレースがカギになる。そして日曜日に、どれだけチャンスがあるかがわかるだろう。日曜日はその時に考えよう」
彼らのようなプロフェッショナルの、世界最高峰のライダーは、メンタルのコントロールの仕方もよくわかっている。だから、こうした対応はまったく不思議ではない。しかしそれでも、このときのマルケスは、彼が自分の心を頑なに守ろうとしているように見えた。
日本GPにあたり、私はレース後、チャンピオンになったマルケスへの質問をいくつか練っていた。しかし、この回答を聞いて、取材方法を変えることにした。おそらくは、日曜日のレース後、これまでにないマルケスの姿がそこにあるだろう──。サンマリノGPから日本GP木曜日会見までを取材して、そんな予感が漂っていた。マルケスの姿を、細部まで見届けることにしたのである。
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