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インタビュー(後編)|クルーチーフが語る小椋藍の強みと課題、そして、今季の到達点

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©Eri Ito
ブレーキングとスロットル・コントロールの強みを持つ小椋藍。
しかし、シーズンが進むにつれて、課題も浮き彫りになってきた。
クルーチーフのジョヴァンニ・マッタロッロが語る、小椋の成長のプロセスと弱点、そして今季の到達点への展望とは。

転倒が続く理由は

小椋は、開幕戦タイGPのスプリントレースで4位、決勝レースで5位を獲得し、鮮烈なデビューを飾った。このリザルトが、第12戦チェコGPまでを終えて、今季の小椋のベストリザルトである。

タイのチャン・インターナショナル・サーキットは小椋が得意とするサーキットであり、小椋は気温が高い中でのタイヤのマネジメントに優れているからだ。タイは多くのライダーが熱に苦しんだレースだった。

小椋が最近のレースで苦しんでいるのは、タイヤが機能するところまで「温度を上げる」作業なのである。──「苦しんでいる」と書いたが、正確には「ミシュランという新しいタイヤを正しく機能させるために、今、試行錯誤している」と言ったほうが正しいだろう。

そして、これが転倒回数11回につながっている。小椋はMoto2、Moto3クラスでも転倒の少ないライダーだった。けれど、クルーチーフであるマッタロッロは、まったく心配することはない、という口ぶりで「これも学習プロセスの一部ですから」と言う。ルーキーである小椋にとって、すべての週末が新しい学びであり、経験なのだ、と。この点、ライダーである小椋自身のシーズンの向き合い方と、きちんと合致している。

「限界を理解するためには、ときにはそれを超える必要があります。ル・マンではスピードが出過ぎていて転倒したのだと思います。バイクのせいでもライダーのせいでもなく、タイヤのために、です。つまり、タイヤがエネルギーを受け止めきれなかったのです」

「私は彼に『もしあのコーナーを走り切れていたら、本当に素晴らしかったよ』と伝えました。というのも、その週末のベズ(マルコ・ベツェッキ)のベストラップでも、あのときの彼のスピードにはまったく近づけなかったのですから。要は、タイヤがそのエネルギーに耐えられないということを理解するだけの話です。そして彼は、少しずつそれを理解していきました」

マッタロッロは「ポイントは、ミシュランは常に転倒の前兆を与えてくれるわけではない、ということなのです」と言う。

「タイヤが限界に達しても、スキップや挙動が出ないことがあるのです。ある瞬間までは大丈夫でも、ほんの1km/h速くなっただけでタイヤの限界を超えてしまいます。これは、細かい部分を理解することが重要で、それはライダーだけが感じ取れるものです」

「特にリアは、データ上から『今タイヤの限界を超えている』と伝えるのは難しいのです。フロントは比較的簡単で、限界を超え始めるとスキップし始めます。しかしリアはそうではありません」

「実際、一番派手だった転倒、バイクが炎上してしまったときのことですが、その転倒の後が特にそうでした。彼はピットに戻ってきて、なぜ転倒したのか理解できず、少し恐れを抱いていました」

オランダGPのプラクティスの転倒のことである。小椋はその週末、プラクティス、Q2、決勝レースの3回転倒を喫している。

マッタロッロは小椋に「簡単に説明できることではないけれど、君がしていたことに(リア)タイヤが耐えられなかっただけなんだ」と説明した。小椋は「でも、前触れがなかった……」と言う。理由が見つけられない転倒は、ライダーを悩ませる。次に回避しようがないからだ。疑心暗鬼になれば、あの極限のスピードで自信を持って攻められない。

「私は『わかっているよ』と彼に言いました。その週末には(フェルミン・)アルデゲェルもリアから転倒していたし、マルク・マルケスもリアから2回、転倒していました。つまり、予測するのが難しい状況だったということです」

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