MotoGP第16戦サンマリノGPの木曜日(9月11日)、イタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリでヤマハはV4エンジンを搭載したプロトタイプマシンを公開した。
そして、サンマリノGPの週末は、テストライダーのアウグスト・フェルナンデスがV4プロトタイプを走らせた。
こちらの記事では、現地取材からプレスカンファレンスの様子、フェルナンデスが語ったV4プロトタイプの現状などをお伝えする。
ヤマハのホスピタリティで行われたV4プロトタイプのお披露目
V4エンジン搭載のYZR-M1は、ワイルドカード参戦のアウグスト・フェルナンデスがコースで走らせるのに先駆けて、ヤマハのホスピタリティで行われた。
ホスピタリティの中央にはベールをまとったV4プロトタイプマシンが置かれ、多くのメディア関係者とヤマハの関係者、そしてモンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームのファビオ・クアルタラロとアレックス・リンス、プリマ・プラマック・ヤマハMotoGPのジャック・ミラーとミゲール・オリベイラ、テストライダーのアウグスト・フェルナンデス、同じくテストライダー兼ライダーズ・パフォーマンス・アドバイザーのアンドレア・ドヴィツィオーゾがヤマハV4エンジンを搭載したマシンのお披露目に集まった。

プレスカンファレンスはヤマハMS開発部長、鷲見崇宏さんの話から始まった。
「大きな関心を持ってくださって、本当にありがとうございます。しかし正直に言えば、私たちヤマハ自身が誰よりも強い関心を持っています」
「このプロジェクトの目標は、もちろん『再び勝利の道へ戻ること』です。でもご存じの通り、この取り組みはそれほど単純でスムーズなものではありません。ですから私たちは、単に目に見える技術的な部分だけでなく、知識の観点からアプローチしようとしています。作業の進め方そのものを変えるだけでなく、個々のスタッフの考え方を変えることにも取り組んでいます」
そして、V4エンジン開発を決断した理由について、こう説明した。
「2021年以降、MotoGPの状況は大きく変わりました。数レース後、私たちはある決断を下す必要がありました。──つまり、私たちは中期的な計画を見直す必要があるということです。そして、このV4エンジンをプロトタイプマシンに搭載する可能性について、検討を始めました」
「このプロトタイプマシンを一つの可能性として位置づけています。このプロジェクトを始める動機は技術的な側面からです。私たちには、タイヤの活用など、多くの技術的な課題がありますからね。しかし最大の課題は、それをどのように実行し、プロジェクトとしてどう成し遂げるかということです」
「ご存じのとおり、近年のMotoGPにおいて、現在進行中のプロジェクト(並列4気筒のYZR-M1)と並行してまったく異なるマシンを開発するというのは前例のないことです。つまり、まったく新しいバイクをつくるためには、私たち自身も大きく変わり、全面的にアップデートしなければなりませんでした」

続いてヤマハ・モーター・レーシングのマネージング・ディレクター、パオロ・パヴェシオさんは「V4マシンは2026年にレースを戦うことになるのか?」という質問にこう答えている。
「お答えできません……というのは冗談で(笑)、これまで何度もお話ししてきたように、ここまで来るのは一つの旅でした。この新しいプロトタイプに課せられた使命は、私たちが『今年レースで走らせているマシンと同じレベルのパフォーマンスを(V4で)達成すること』でした。私たちは目標にかなり近づいていると思います。
「しかし最終的な決断を下す前に必要なのは、金曜日からの走行でパフォーマンスをしっかりと評価し、そのポテンシャルを確認することです。そして可能になり次第、最終的な決断を下すつもりです。目標はとても明確で、サーキットでより競争力のあるマシンを手にすることです」

冒頭で述べたように、プレスカンファレンスには多くのヤマハ関係者が立ち会っていた。彼ら、彼女らはまさにV4プロトタイプマシンの開発に携わった人々だった。進行を務めたウィリアム・ファーヴェロさん(ヤマハ・モーター・レーシングのマーケティング&コミュニケーション部門マネージャー)が、「これは大きなチャレンジでしたが、そのチャレンジを成し遂げたのは、(会場にいる)青いウェアを着た男性と女性たちです。みなさんにお願いがあります。今回のニュースを可能にしてくれた主役たちに、大きな拍手を送ってください」と語り、ホスピタリティが拍手で包まれるシーンもあった。
また、パヴェシオさんにより、アウグスト・フェルナンデスが2026年、2027年も引き続き、テストライダーを務めることが発表されている。
ファーヴェロさんの絶妙な進行もあって、プレスカンファレンスは和やかな雰囲気で進んだ。特に感じられたのは、日本とヨーロッパのヤマハが一丸となって、「変化」を恐れずにV4エンジンという新しい挑戦に突き進んできたのだろう、ということだ。
ヤマハは2024年、テクニカル・ディレクターにマッシモ・バルトリーニさんを迎え、今、ヨーロッパと日本のやり方が融合し、向上している。今後を考えれば、V4エンジンはその成果の一つと言ったほうがいいだろう。V4エンジンはもちろんだが、この開発を成し遂げたヤマハの「変化」も見逃してはならない。そう感じたプレスカンファレンスだった。

フェルナンデス、実戦での印象は
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